KATA Weste 【ドイツ連邦軍】

イスラエルのKATAベストです。
BWにおけるKATAと言えば正規に調達されたB2バックパックですが、この手のベストも個人調達と思しき範囲での使用が見られます。
こちらのベストは正確にはKATA製である証拠(ラベルなど)はないのですが便宜上KATAベストとして扱うことにします。




モジュラー化前夜とでもいいましょうか、行くところまで行きついたオールインワン設計です。





前を合わせるベルクロが弾倉の重みで剥がれてこないか心配ではありますが、ファステックスで食い止めると考えればジッパーより合理的なのかもしれません。
合わせの関係で左身頃のマグポーチが中央に寄っていますがこれも特徴と言えるでしょう。




マグポーチは破れにくい角なしの縫合である上にナイロンテープで補強されています。
堅牢な構造ですがこれを設計した人はマグポが壊れて嫌な思いでもしたんでしょうか。
実戦を通して洗練されてきたイスラエルの装備ですからこれも合理的ということでしょう。

G36の弾倉なら連結した状態で、多少きつめではありますが収納することが可能でした。
このベストが登場した当時はG3なわけですが、それも2本までなら問題なく収まるはず。

マグポの側面にはペンライト程度のものを収納できそうな小型のポーチも付いています。



マグポーチと身頃の隙間からショットシェルホルダー出てくるギミック。
エラスティックテープで繋がっておりもう少々引き出すことが出来ます。



右端のマグポーチ裏には細長い物を収納できるホルダーが縫い込まれています。
主にナイフを入れておくものかと思いますが工具なんかにも適用できそうですね。



マグポーチの脇にはグレネード類を収納できる小さ目のポーチが位置しています。
そのさらに脇には何か薄いものを入れられそうな用途のよく分からないポーチが。



反対側も同様。前述通りマグポーチがオフセットしているので非対称ですが。



胸にはコンパス用ほどの大きさの小物ポーチとSEM52用ラジオポーチが配置されています。
肩部は存外にやわらかく作られておりフィット感がよく、ベストの重量をうまく分散してくれそう。



左身頃のポーチからはナイロンテープで出来た謎のハーネスがデロデロと出てきます。
ヘルメットホルダーにしては小さいようですがどうもそのようにしか見えないんですよね。



そのポーチの裏も律儀にポーチ化されていました。



背面の縫い付けポーチも大きな特徴です。バックパック不要の設計を目指してますね。



上段の雑納。IdZベスト付属の雑納はこれが元ネタなのでしょう、かなりそっくりです。
予備の弾薬、ポンチョ、調理器具など短期的な作戦行動には十分な収納性。
ただし切り離しができないので激しい戦闘に巻き込まれると難儀しそうです。



底面からはヘルメットホルダーが出てきます。これもIdZに遺伝しましたね。




その下には長細い貫通型ポーチが。ロープを収納するためのものらしい。
グラウンドシートや寝袋をロールアップするためのテープがいかにもな雰囲気。



下段の雑納もIdZ付属ポーチのデザインに応用されていますね。



下段雑納の側面についているのは水筒ポーチ。その側面にさらに小物用ポーチが。
ただ支給品の水筒用にしては小さ目な気がする。700mlボトルくらいでしょうか。



KATA製品であれば渦巻き模様のタグがあるはずですが見当たらず。
ベストの内側には折り返しの板状ポーチ(?)が3ヶ所に付いています。



中央のみクッション用にウレタンが入っていますが、ここ以外はマップの収納に使えるとか。
この折り返しギミックはKSKベストのS95アダプタに応用されたと考えると興味深いですね。



ここまで来てお気づきの方も多いと思いますが2種類の迷彩生地が使われています。
マグポーチなど急所に用いられるはっきりした柄のタイプ(最近のナイロンに近い)と、小物ポーチや身頃に用いられるボヤっとにじんだような(SS迷彩みたいになってる)タイプです。



裏のライニングは同じもののようですが厚みや感触は大分異なり、はっきりした柄の方が丈夫そう。
BARETT誌によると1000Dと500Dのコーデュラが混用されているらしくそれによる違いではないかと思われます。丈夫さが求められる部分に1000Dを使い、柔軟性が必要な部分には500Dを、といった具合でしょう。

結果的にこれだけマッシブな見た目にもかかわらず2kg弱の重量に抑えられており大変に軽快です。



1995年のBARETT誌に(仕様は微妙に違うものの)同製品の解説記事が掲載されていました。
偵察用ベストとして紹介されておりドイツ連邦軍向けにカスタムが加えられた設計であると解説されています。HK50の弾倉にも対応するそうで当時からG36導入を前提とした調達が考えられていた様子です。

またB2バックパック同様KATAだけでなくイスラエルミリタリープロダクツでも製造されていたようです。

誌面では送料&関税込み440ドイツマルクでメーカから直接購入できると記載されていました。5着分での一括注文が推奨されており部隊単位での購入があったことが想像できますね。

また誌面では当時導入されていた新しい官給ロードキャリア(=S95)の能力不十分についての指摘もみられ、S95は各兵科の需要を十分に満たすものではなく兵士は個人での対応を迫られる状況にあるとしています。
現在のドイツ連邦軍でよく見られる個人装備の自弁文化(習慣?)はこのときに始まったのかもしれません。

律儀にポーチごとにDリングが付いていたり凝ったギミックが付いていたりIdZにパクられたりと、その後2000年代のドイツ製ナイロン装備に与えた影響はかなり大きいものと見受けられます。
1990年代にこのような外国製ナイロンを研究しまくった結果が所謂KSKベストなのでしょう。


Tschüs!!

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